最小限の式は「初期費用÷年間の純便益」

単純回収期間は、初期費用を年間の純便益で割る方法です。年間の純便益は、人の作業が減る効果などの年間便益から、保守・電気・ソフト利用料などの年間追加費用を引いて計算します。便益がゼロ以下なら、この式では回収できる年数は出ません。

この計算は、金利、税金、設備の残存価値、年ごとの生産量の変化を省く簡易比較です。購入の最終判断を一つの数字に任せるものではありません。ILOの研究にも、作業ごとのコストを人の賃金と比較する考え方がありますが、ここで使う数値は編集部が置いた仮定です。

300万円の例を、一段ずつ計算する

説明用の入力は、初期費用300万円、年間追加費用30万円、対象作業の時間単価2,000円、年間対象時間2,000時間、実効的に置き換えられる割合70%です。70%は、対象作業のうち実際に人の手を減らせる割合として使います。製品の稼働率を公表した数字ではありません。

年間便益は2,000円×2,000時間×70%=280万円。そこから年間追加費用30万円を引くと250万円です。300万円÷250万円=1.2年、月に換算すると14.4か月になります。年間便益の月平均は約23.3万円、費用控除後は約20.8万円で、売上や利益の実績ではありません。

計算項目説明用の数字
年間対象時間2,000時間
置き換え相当時間1,400時間
年間便益280万円
年間追加費用30万円
年間純便益250万円
単純回収期間1.2年(14.4か月)

あなたの条件で試算する

下の数字は架空の条件です。見積書や現場で計測した値に置き換えてください。

年間の差引便益250万円
単純回収期間1.2年

年間の差引便益=時給×対象時間×代替割合−年間運用費。回収期間=初期費用÷年間の差引便益。削減時間が実際の支出削減や売上増につながる前提です。税金・資金調達費・割引率は含みません。費用を運用費と代替割合の両方で重複計上しないでください。

人の時間が空いても、同額の現金が残るとは限らない

社員が同じ給与で働き続ける場合、時間が空いたことは、そのまま現金支出の減少ではありません。残業が減る、外注を減らす、増員を見送る、空いた時間で追加受注を処理するなど、効果が実際に生まれる経路を分けます。追加受注も、見込売上をそのまま便益にはできません。

同じ1,400時間について、人件費削減280万円と、再配置による効果を丸ごと足すと二重計上になることがあります。提案する方法は、「支出削減」「増産から得る追加の利益」「測定できる品質改善」を別々に見積もり、同じ原因を重ねて数えていないか確認することです。

楽観値ではなく、条件を変えて比較する

割合70%に、すでに停止や人の介入を織り込んでいるなら、さらに稼働率や成功率を掛けると同じ損失を二度引く可能性があります。反対に、ロボットが動く時間だけを70%と呼んでいるなら、介入や検査時間がまだ残っています。入力の名前と範囲を固定することが先です。

試算では50%、70%、90%などの仮定を比べる方法を提案します。割合50%なら年間便益200万円、純便益170万円、回収は約1.76年です。回収年数の小数だけを追わず、どの条件なら導入目的を満たすかを確認しましょう。実証で測った値がそろった時点で、仮定を置き換えます。

導入前の記録がないと、効果は測りにくい

試算の時間単価を細かくしても、元の作業時間が感覚値なら精度は上がりません。提案として、導入前の一連の仕事を同じ開始・終了条件で計測し、待ち、移動、実作業、手直しを分けます。導入後も同じ範囲を測れば、機械が速くなった時間と、人の負担が本当に減った時間を比較できます。対象商品の違いや注文量の違いも、一緒に記録しておきます。

年間2,000時間という入力も、定格の運転時間ではなく、対象の仕事が実際にある時間として使います。注文が少ない日に機械を動かしても、便益を同じように積み上げられるとは限りません。季節で仕事量が変わるなら月別に計算して合計する方法があります。初期試算は概算として使い、実証で得た時間と実際の見積もりが出た時点で、導入後の期間に合わせて更新します。

よくある疑問

ROIと回収期間は同じですか?

同じではありません。ここでは直感的に比較しやすい単純回収期間を扱います。ROIという語は利益と投資額の比率を指す場合もあるため、式の確認が必要です。

回収期間が短ければ買うべきですか?

対象作業の量が続くか、品質が維持されるか、故障時に対応できるかも関係します。試算は導入候補を絞る材料の一つです。

出典・参考資料

公式公開資料を基に構成しています。メーカーが示す性能・実演は各社の発表であり、本メディアによる実機検証ではありません。価格・提供範囲は2026年10月24日の確認時点です。

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